2013-01-01から1年間の記事一覧

当事者でなくとも、批判はできる

当事者性は絶対のカードだ。 「お前にわたしの気持ちがわかるわけはない」と人を非難するのは、カイカンだ。攻撃性を満たしてくれるし、自分が正しいと優越感にひたれる。良心的な人たちは、つらい思いをしている人を諫めることに対しては罪悪感を感じるし、…

国連加盟国189カ国で最後までピルを承認しなかった日本

日本でのピルの検討は、案外早く、1955年で国際会議にてピルによる避妊法が発表された直後から始まっていた。ピルの成分を子宮内膜症の治療に使うことはすぐに認可されたのだが、経口避妊薬としての使用は副作用が明らかになっていないとの反対にあった。副…

とても傷ついたとき

不妊治療の経験者に養子縁組の可能性を示唆したらひどく非難された件。 わたし自身が非難されている、というよりも、つらいんだと悲鳴をあげているように見えた。 いままでみた風景のうちで印象が似ているのは、子どもの障害の告知である。どう告知したとこ…

育児を楽にするための母乳の正しい知識

姉の育児が楽になればと、母乳と粉ミルクについて、いろいろ調べてみた。育児の話となると、親御さんがたの熱意の結果だと思うけれど、科学的に根拠がない(むしろマイナスである)手間を推奨されることも多い。 母乳は保存につよい 母乳は常温(25度以下)…

運営って最適解を導きだすようなもので

三年ほど、グローバル・ボイス日本語というNPOの日本語支部*1の長をつとめている。人々の生の声を伝えることを旨とするメディアで、さまざまな言語で書かれたTwitterやブログを、背景を理解するための説明をつけて紹介している。信頼性の高いまとめサイトみ…

過食症の薬物治療

薬物治療がない、多くの人にと思われている疾患も、薬物が治癒の助けになることがわかってきている。ただ、認知行動療法が大切な場合は多い。 ソースはKaplan & Sadock's の Synopsis of Psychiatry 原著10版の23.2 Bulimia Nervosa and Eating Disorder Not…

養子を提案すると、叩かれるのがデフォらしい

児童養護施設の現状に関する調査を読み解く - 医学生の生存戦略や施設での児童養育について、児童の精神発達という側面からの考察 - 医学生の生存戦略に述べたような理由で、里親・養子制度がもっと進んでほしいと思っています。なんらかの事情で子どもがで…

児童養護施設の現状に関する調査を読み解く

関連エントリ:施設での児童養育について、児童の精神発達という側面からの考察 - 医学生の生存戦略 社会的養護 |厚生労働省の「社会的養護の現状について」を参考にしました。わたしが特に重視しているポイントのみ述べます。興味がある方は直接お読みくだ…

施設での児童養育について、児童の精神発達という側面からの考察

関連エントリ:児童養護施設の現状に関する調査を読み解く - 医学生の生存戦略 まずは養護施設で子どもを育てることについて、欧米でどのように考えられているのか、またどのような弊害が理論的に考えられるのか、という点にフォーカスをおいて書きます。 ス…

借りた本の感想&覚書

児童虐待イニシャルマネジメント―われわれはいかに関わるべきか作者: 市川光太郎出版社/メーカー: 南江堂発売日: 2006/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 自分一人で解決しようとしない。チームで対応。 普段は親を信頼し連携する小児科医にとっ…

医者と患者のカンケイ

ほかのブログに書いたコメント。 通りすがりの医学生 どう返そうか考えていて、遅くなりました。すみません。 今の医学教育のカリキュラムには、医療面接の練習というのが入っています。どうすれば患者といい関係が築けるか、診断や治療に必要な情報を間違い…

誰がための障害者認定

#318 発達障害は本当に増えたと言えるのか? - 石川 憲彦さん(児童精神科・小児科医) | mammo.tvを読んだ。 発達障害*1が増えた理由に関しては、発達障害の症状をより誘発しやすい状況が現代にあふれていたり、どの職業でもいわゆるコミュニケーションスキル…

レポートの内容を晒す

コピペできるような代物ではないので*1、提出レポートをさらしてみる。 認知症予防のグループでは、まず認知症の対策として何が重要であることがわかっているか、ということを調べることから始めました。その結果、最新の研究で脳血管の保護、運動、趣味豊か…

新生児の反射&3ヶ月

あとで見返す機会があるかもしれないので、まとめておく。 新生児の反射 モロー反射(正常) 驚いたり背中から急に落下したりすると、モロー反射が現れる。正常では、手をばんざいした後に軽く体を抱くようなポーズをする。 モロー反射(異常) 明らかに元気…

風立ちぬとタバコ

映画「風立ちぬ」でのタバコの扱いについて(要望) 日本禁煙学会について書いた。ネタばれあり。 当時の日本人男性の多くがタバコを吸っていた様子を描くのと、タバコをストーリー上重要なアイテムと位置づけたり、タバコを美化するのは違う。風立ちぬでは…

美白は難しい1

カネボウの美白化粧品で白斑が発生し、回収になった。白斑というのは、要は白さにムラができて、白すぎる箇所ができた、ということだ。これは、なかなか解決の難しい問題だ。もともと、肌の美白は難しい。例えば、「肌理の細かい肌」や「張りのある肌」は誰…

教科書選び方・雑感など

エレガントな問題解決 ―柔軟な発想を引き出すセンスと技 医療系の学生がメインターゲットだが、たぶんほかの分野でもあてはまる。読む方は個人の偏見であることを忘れずに。 ほかの人のお勧め本や評判を聞く 割と医学生は「先輩」の話を真に受けがちなようだ…

ネットによる医学知識収集の必要性

わたしは情報系の出身である。情報系では、分野の性質上、信頼性が高く最新の情報がネットに載っている。論文や公式サイト上の情報はもちろん、ネット上のハンドル名しかわからない人のTwitterの投稿だって、最新の動向をつかむため、研究のヒントとして、追…

こんな生理は医者に行け!

需要がありそうな気がしたのでまとめてみました。 月経不順は、差し当たり問題がないので、放置されがちです。いそがしいですし、困らないですしね。しかし放っておくと、不妊や子宮体がんを招くことになります。女性ホルモンは女性の若さや骨密度を保つ役割…

頚部腫瘤の鑑別診断

頚部の腫瘤の鑑別診断 from Izumi Mihashi ネットにアップロードするにあたって、画像のリンクを追加しました。今回のスライドには画像をたくさん使ったので、リンクをつけるのは著作権的にお行儀がよくないですがフェアユーズということで免除させてもらっ…

OHSS

カリキュラムの一部として設けられている発表で使った資料。 OHSS(卵胞刺激過剰症候群)の診断 from Izumi Mihashi 卵胞刺激過剰症候群とは何やら難しげだけれど、ゴナトトロピンをもちいた排卵誘発治療には程度の差はあれ必ず併発するので婦人科では必修の…

スポーティドレス

きのう思いたって作ったワンピース。スポーツ用機能素材なので超快適。でも、自分でしゃしんとるの難しいね。棒だちしててもわからないかといろいろ工夫してたら力が入ってしまった。モデルさんはすごい。

マタニティドレス ver. 3

リバティのタナローンで作った姉のマタニティウェア(結婚式出席用)。布がいいので、アイロンをかけるともっと素敵になります。前のダーツと紐で調整して、産後も着れるようにしました。

デザイン画

暑くてたまらないから、スポーツ用素材でワンピース作る。形はこんな感じ。

マタニティドレス ver. 2

姉のオーダーで作ったマタニティウェア。布はたっぷり使っているので、体型に合わせて絞ってもらう。(ver.1 の写真は撮り忘れた)

ピルと女性の暮らし方の変遷

婦人科の授業をうけていた。 子宮内膜症や子宮筋腫は昔なかった。子宮体がんも卵巣がんも増加している。これらはすべて、初経の低年齢化と妊娠・出産の数の低下によるという。江戸時代の初潮は平均15歳で、5人くらい子供をうみ、50歳には閉経する。対して、…

「うつ病」との診断自体が悪になる

個人や社会の問題が、不用意にうつ病に押し付けられているのをよく目にする。一パターン目は、会社のゆがみが医療に押し付けられる例。 「柳井正は人として終わってる」を読んで 短い睡眠時間、理不尽な規則、先の見えない状況で働いたら、おかしくなるのは…

せん妄の診断と治療

せん妄はわからない、という人によく出会う。なぜそういう感想になるかというと、一つは一般病棟でよく出会う精神疾患ということだろう。うつ病や統合失調症なら精神科にいくが、せん妄は精神病の既往のない人が手術後や薬物治療で発症したりする。なじみが…

画像認識と単純X線写真

母親に付き添って、呼吸器科の外来に行ったことがある。治療を要するような病変は見つからなかったものの、正常像に比べて白い濃い線がたくさんみえていた。また、右肺の下のほうに丸く抜けた黒い箇所があった。気管支の肥厚とブラフの所見である。医者には…

製薬会社が「儲かる」薬

いま臨床で多用されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系で、昔のバルビツール系とは比べものにならないほど安全になった。バルビツール系は多量服用すれば呼吸がとまり、めでたく自殺できたけれど、ベンゾジアピン系で死ぬことは難しい。もちろん、多量服用す…