医療

過食症の薬物治療

薬物治療がない、多くの人にと思われている疾患も、薬物が治癒の助けになることがわかってきている。ただ、認知行動療法が大切な場合は多い。 ソースはKaplan & Sadock's の Synopsis of Psychiatry 原著10版の23.2 Bulimia Nervosa and Eating Disorder Not…

借りた本の感想&覚書

児童虐待イニシャルマネジメント―われわれはいかに関わるべきか作者: 市川光太郎出版社/メーカー: 南江堂発売日: 2006/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 自分一人で解決しようとしない。チームで対応。 普段は親を信頼し連携する小児科医にとっ…

医者と患者のカンケイ

ほかのブログに書いたコメント。 通りすがりの医学生 どう返そうか考えていて、遅くなりました。すみません。 今の医学教育のカリキュラムには、医療面接の練習というのが入っています。どうすれば患者といい関係が築けるか、診断や治療に必要な情報を間違い…

新生児の反射&3ヶ月

あとで見返す機会があるかもしれないので、まとめておく。 新生児の反射 モロー反射(正常) 驚いたり背中から急に落下したりすると、モロー反射が現れる。正常では、手をばんざいした後に軽く体を抱くようなポーズをする。 モロー反射(異常) 明らかに元気…

風立ちぬとタバコ

映画「風立ちぬ」でのタバコの扱いについて(要望) 日本禁煙学会について書いた。ネタばれあり。 当時の日本人男性の多くがタバコを吸っていた様子を描くのと、タバコをストーリー上重要なアイテムと位置づけたり、タバコを美化するのは違う。風立ちぬでは…

美白は難しい1

カネボウの美白化粧品で白斑が発生し、回収になった。白斑というのは、要は白さにムラができて、白すぎる箇所ができた、ということだ。これは、なかなか解決の難しい問題だ。もともと、肌の美白は難しい。例えば、「肌理の細かい肌」や「張りのある肌」は誰…

教科書選び方・雑感など

エレガントな問題解決 ―柔軟な発想を引き出すセンスと技 医療系の学生がメインターゲットだが、たぶんほかの分野でもあてはまる。読む方は個人の偏見であることを忘れずに。 ほかの人のお勧め本や評判を聞く 割と医学生は「先輩」の話を真に受けがちなようだ…

ネットによる医学知識収集の必要性

わたしは情報系の出身である。情報系では、分野の性質上、信頼性が高く最新の情報がネットに載っている。論文や公式サイト上の情報はもちろん、ネット上のハンドル名しかわからない人のTwitterの投稿だって、最新の動向をつかむため、研究のヒントとして、追…

こんな生理は医者に行け!

需要がありそうな気がしたのでまとめてみました。 月経不順は、差し当たり問題がないので、放置されがちです。いそがしいですし、困らないですしね。しかし放っておくと、不妊や子宮体がんを招くことになります。女性ホルモンは女性の若さや骨密度を保つ役割…

頚部腫瘤の鑑別診断

頚部の腫瘤の鑑別診断 from Izumi Mihashi ネットにアップロードするにあたって、画像のリンクを追加しました。今回のスライドには画像をたくさん使ったので、リンクをつけるのは著作権的にお行儀がよくないですがフェアユーズということで免除させてもらっ…

OHSS

カリキュラムの一部として設けられている発表で使った資料。 OHSS(卵胞刺激過剰症候群)の診断 from Izumi Mihashi 卵胞刺激過剰症候群とは何やら難しげだけれど、ゴナトトロピンをもちいた排卵誘発治療には程度の差はあれ必ず併発するので婦人科では必修の…

ピルと女性の暮らし方の変遷

婦人科の授業をうけていた。 子宮内膜症や子宮筋腫は昔なかった。子宮体がんも卵巣がんも増加している。これらはすべて、初経の低年齢化と妊娠・出産の数の低下によるという。江戸時代の初潮は平均15歳で、5人くらい子供をうみ、50歳には閉経する。対して、…

「うつ病」との診断自体が悪になる

個人や社会の問題が、不用意にうつ病に押し付けられているのをよく目にする。一パターン目は、会社のゆがみが医療に押し付けられる例。 「柳井正は人として終わってる」を読んで 短い睡眠時間、理不尽な規則、先の見えない状況で働いたら、おかしくなるのは…

ある脳卒中患者の例

義理の叔父が脳卒中で死んだ。わたしはこの叔父の治療について、かなり関わった。わたしが関わったことで、義理の叔父の人生の終わりの時間を多少よいものにできた面はあると思う。ただ、もしかしたら結果的に死期を早めてしまったのかもしれない。気持ちの…

改訂 第五版 心臓病教室

心臓病教室作者: 太田昭夫出版社/メーカー: 新興医学出版社発売日: 2003/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 消化器系の臓器の病気と循環系(心臓•血圧•血管)の病気を習った。両方とも分量が多く複雑なのには違いないけど、循環系の方がとっつき…

患者との対話と診断

診断法に関する本があったので、読んでスライドにしました。 Every Patient Tells a Story: Medical Mysteries and the Art of Diagnosis作者: Lisa Sanders出版社/メーカー: Harmony発売日: 2010/09/21メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見る …

発生学 ver.2

http://uncontrollablemind.hatenadiary.jp/entry/2013/08/05/225758の続きです。しかし発生学は奇形がたくさん出てくるので、まとめていてかなり精神に応える。閲覧はグロ注意なので気をつけて。 発生学2(受精~三胚葉) from Izumi Mihashi

発生学 ver.1

発生学を自習していてはまるのは、「3次元的な位置関係がよくわからない」ことだと思う。え、なんでここからこういう形になるのよ、という。Langmanは解剖学的、病理学的に正確な図が豊富に乗っていてわかりやすい。臨床との関連も豊富に記載されている。 L…

すい臓がんの早期発見

白い巨塔の外科医師はすい臓がんが専門である。すい臓がんは、現時点では「早期発見が難しい」「転移しやすい」「手術で取り除きにくい」と、かなりハードな条件がそろっており、しかも医学が進んでも生存率にあまり改善がみられない。 ほかの癌は効果的な治…