育児を楽にするための母乳の正しい知識

姉の育児が楽になればと、母乳と粉ミルクについて、いろいろ調べてみた。育児の話となると、親御さんがたの熱意の結果だと思うけれど、科学的に根拠がない(むしろマイナスである)手間を推奨されることも多い。

母乳は保存につよい

母乳は常温(25度以下)で8時間、冷蔵で8日間、冷凍で21~28日間保存できます。冷凍では一部の白血球が減少しますが、基本的には多くの有効成分は保ったまま保存できます。

卒乳は急ぐ必要がない

世界各国の卒乳年齢の平均は4.2歳です。日本では1歳過ぎの授乳にデメリットがあるという説が流れていますが、根拠がないことがわかってきています。母乳単体では虫歯になりませんが、砂糖が口腔内に残ったまま母乳を飲むと虫歯の形成を促進することがあるので、食べた後は歯をきちんと磨いてから母乳に移りましょう。母乳があっても、離乳食が進まなくなるということはありません。

高脂肪食は乳管の詰まりと関係ないことが多い

日本では、授乳中の母親は高脂肪食をとらないように指導されるが、実のところ脂肪摂取と乳管の詰まりについて研究した論文はほとんどなく、欧米ではそのような指導がなくともほとんどの母親は授乳は問題なくできているとのこと。ただし、繰り返し詰まる場合には、脂肪は不飽和脂肪酸に限定し、レシチンをとるようにアメリカの専門家が推奨しているらしい。

乳首の殺菌は必要ない

乳頭の殺菌を行わずに授乳すれば、親から赤ちゃんに常在菌を移すことができますので、むしろ殺菌しないほうがよいといえます。

哺乳瓶の殺菌は割と楽にできる

スポンジで食用洗剤を使用し洗うだけでも、90度以上のお湯に5分つけるだけでも、哺乳瓶の殺菌は十分にできるようです。

陥没乳頭や扁平乳頭でも母乳育児は可能

乳頭の形そのもので母乳育児ができなくなることはなく、むしろ育児支援者がとった言動で、母親にできないという先入観を与えてしまうことが問題のようです。ただ、おっぱいがパンパンに張っていると、乳児がうまく吸い付けないことがあり、陥没乳頭や扁平乳頭だとさらに吸いにくくなってしまうようです。頻繁に授乳したり、授乳の前に搾乳しておいたり、しっかりと母親の胸に垂直に1~3分間指を押してはなすことで乳輪がやわらかくなるとのことです。

乳汁分泌の促進方法

乳汁の分泌は 1. 乳腺から母乳を出し切り空にすること 2. 赤ちゃんが乳頭に吸い付くこと で促進されます。授乳後に搾乳し乳汁を出しきったり、人工乳を使う場合はナーシングサプリメンターを使い赤ちゃんが乳首を吸う機会を増やすことが重要。

赤ちゃん主体の授乳方法

Laid-back breastfeeding という、自分が寝そべって赤ちゃんが乳をさぐるに任せる授乳方法もあるそうで。

母乳育児はアレルギー発症予防に効果がある

母乳育児は赤ちゃんの未熟な免疫能を補ったり、赤ちゃんの免疫系の発達を促したり、腸内環境を安定させたり、多量の牛乳蛋白への暴露を防ぐため、アレルギー発症を抑制します。母親がとった食事からは微量の蛋白質が母乳に混入しますが、微量であるため、むしろアレルギーの発症の抑制に寄与します。

母乳育児をやめなければいけない薬はほとんどない

薬服用時に母乳育児ができるかどうかと医者にきいた場合、念のため母乳はやめろという意見が返ってくることが多いと思いますが、医者が正しい知識を持っているとは限りません。薬の添付文書も、責任を逃れるため本当に無理なのかどうか検討していることは少ないものです。薬剤師さんやお医者さんに指示をあおぐときは、授乳中の薬の影響 | 妊娠と薬情報センターのリストをお持ちになるとよいでしょう。

一時的に母乳を休止するときでも、母乳をしぼらないと出なくなってしまうので、搾乳はし続けてください。