レポートの内容を晒す

コピペできるような代物ではないので*1、提出レポートをさらしてみる。


認知症予防のグループでは、まず認知症の対策として何が重要であることがわかっているか、ということを調べることから始めました。その結果、最新の研究で脳血管の保護、運動、趣味豊かな人とのコミュニケーションの多い生活が個人単位でできる予防として有効であると判明しているとわかりました。この三つについて、手分けしてプレゼンテーション資料を作成しました。

認知症対策は、巷で論じられているものにはイビデンスがほとんどないものも多いので、医学的な論拠に基づいているということを強調するため、プレゼンテーションの中で実験結果を紹介し、効果があることを強調しました。

 

べたこと

本実習は発表練習とプレゼンテーションの改善が主体でしたが、発表自体は本大学に入る前から何度も経験していることもあり、新たに学ぶところはさして多くありませんでした。

 どちらかといえば、論文を自分で読み込む部分のところのほうが興味深かったです。日本神経学会がまとめた認知症疾患治療ガイドライン2010にて科学的に効果が証明されている認知症対策のイビデンスレベルを比較すると、脳血管の保護や認知症薬はイビデンスレベルがAとなっており、運動はB、趣味豊かで人との交流の多い生活はCとなっていました。この結果だけみると、運動や趣味は薬に比べてやはり効果が弱いのだ、ということになってしまいますが、よく説明をみると、そう簡単に片づけられることでもないようです。

どうやら、実際の効果にかかわらず、薬に比べ運動や趣味はイビデンスレベルが低く評価される傾向があるようです。薬はプラセボや二重盲検法を使うことができるため、医師や患者のバイアスによる効果のゆがみを最小限にすることができます。運動に関して、プラセボはなくとも前向き研究が可能ですが、趣味に関しては前向き研究に用いられる手法、つまりグループを半分にわけて片方は趣味を強制するということは、まずできません。このため、後ろ向きの評価しかできず、どうしてもイビデンスレベルが低く評価されてしまいます。

自分の経験でも、運動をすると精神的により安定するように感じたり、仕事や勉強のみに集中しているときより多趣味に過ごしているときのほうが頭が働くように感じるということは多々あるので、単純に認知症の機序と比較することはできないにしても、運動や趣味の効果を切り捨てるのはもったいないと感じていました。運動や趣味は、生きがいにもなりえるし、人とのつながりを作ることで間接的な健康増進効果やコミュニティによるセーフティネットの強化も見込めるので、医師になった暁にはぜひ推進していきたいと思います。

 

もっと学びたいと思ったこと

高齢者が要介護になるまでの過程をどこかで断ち切り、より生き生きとした暮らしを送るために、医療者としてどういう働きかけができるかということを考えていきたいと思います。

 

感想

自分の両親も高齢者といわれる年代に足を踏み入れつつあるところでもあり、いわゆる健康年齢を伸ばすことの重要さをひしひしと感じます。医療の発達により、寿命は長くなりましたが、自立して暮らせる時間の長さは、むしろ医療にかかる前の段階の暮らしぶりにかかっています。

若年者の場合、一つの機能が落ちたとしても、ほかの機能は高いレベルで保たれているので、落ちた機能を治すことに集中すればよいケースが大半のように思います。たとえば、寝たきりになっても認知症にはなりにくいですし、精神病になっても肉体のほうの機能は落ちにくいです。しかし、高齢者は一つの機能が落ちると連鎖的にほかの機能も落ち、なかなか家族のケアでは回復させるのは難しいものです

90歳を迎えてもスポーツに励んでいる方もいらっしゃることを考えれば、年をとると寝たきりになるということは「しかたがない」わけではないでしょう。若いときからの積み重ねがあり、年を重ねても機能を保つための努力をしていれば、長い間自立した暮らしを送ることができるはずです。介護が必要になってからでは、気力なども大幅に低下している例が多いと思うので、介護が必要なレベルを大幅に上回るレベルで、介護予防のための努力をし続けるほうが誰にとってもいいでしょう

介護が必要になる時期よりはるか前から機能改善に取り組むことの重要さ、特に定期的な運動、食生活の健全化、日常生活を支障なく送るのに重要な部位の筋肉トレーニングなどの大切さを伝えていきたいと思います。

*1:すぐバレる